導入事例12
青森県立弘前第一養護学校(高等部)様
URL:https://www.hirosaki1-shien.asn.ed.jp/
青森県立弘前第一養護学校の高等部は、城下町の面影が残る弘前市にある特別支援学校です。校舎周辺にはりんご畑が多く、四季折々の豊かな自然が調和する恵まれた教育環境の中で、生徒たちは、日々、学習活動に取り組んでいます。
今回、高等部2、3学年のワークキャリアコース(一般就労を希望する生徒が履修するコース)を選択している生徒に対し教科「情報」を指導している相内先生にお話を伺いました。
Q1.学校の特徴について教えていただけますか?
A1. 私たちの学校は、知的障がい者が在籍する県立の特別支援学校です。校舎は、二つに分かれており、小中学部校舎は弘前市弥生地区に、高等部校舎は弘前市岩木地区に設置されています。
全校児童生徒数は約200名を超え、私が勤務する高等部校舎では49名の生徒が学習に励んでいます。
Q2.普段から端末を使用して授業をされているのでしょうか?
A2. GIGAスクール構想が推進される10年近く前から、1人1台、教材としてiPadを活用していました。
特別支援学校ではiPadを使用するのケースが多いですが、ワークキャリアコースでは、一般就労を想定したパソコンスキルの習得を目指しているため、タイピング操作に適したWindowパソコンを使用しています。
基本的な学習ツールとして「Google Workspace」の活用をはじめ、積極的に様々な教育クラウドプラットフォームを活用しながら学習活動に取り組んでいます。
ICT教育の問題や課題
Q3. 特別支援学校において、具体的にどのような問題や課題がありましたか?
A3. 児童生徒1人1台端末が支給されているものの、ICT機器や情報セキュリティに関する基本的な知識が乏しい生徒が多いうえに、2019年5月に消費者庁が作成した「障がい者の消費行動と消費者トラブル事例集」に掲載されているとおり、知的障がい者、発達障がい者のネットトラブルが、年々、増加傾向にある現状もあり、本校生徒についても、ネットトラブルに晒されるリスクが、年々、高くなってきていると感じていました。
知的障がいや発達障がいの生徒は、場の空気を読むことが難しいケースが多く、相手を傷つける言葉が理解できないことが多いという特性があります。従って、インターネットサービス、SNSの正しい利用方法などを、早い段階から、丁寧に繰り返し教えていく必要があると考えていました。
エンサップ導入の理由と効果
Q4. 導入に至った理由は何でしょうか
A4. 数年前に受講したデジタル・シティズンシップ研修会において講演されていた静岡大学の塩田先生が、スクールエンジニア検定を紹介していたのがきっかけで、エンサップの存在を知りました。
エンサップの動画教材は、端的明快な説明文をはじめ、イラストや写真などを多用しているため、軽度知的障がいの生徒が理解しやすくイメージしやすい教材になってる点に魅力を感じました。生徒たちは視覚的イメージを先行させながら意欲的に学習に向かうことで、より、知識が深まっていくと感じています。
また、SE検定問題では、繰り返し問題を解くことができ、個別の習熟状況をクラウド上で教師が把握できる点も魅力でした。個別最適な学びを実現させる特別支援教育にもマッチした教材であると感じています。
エンサップの活用方法
Q5. エンサップをどのように活用していますか?
A5. 主に教科「情報」の授業で活用しています。
まず、「SE検定」で情報モラルについての概要を視聴したあと、具体的な事例や補足事項を大型ディスプレイに表示させながら説明します。また、ハードウェアに関する学習では、実際にICT機器や各種ケーブルに触れたり接続したりする実習を交えながら体験的に指導しています。その後、学んだ内容を振り返るため、検定問題に取り組みます。
検定問題をすべてクリアすると「合格証」が発行されるので、「合格証が欲しい!」という生徒たちのモチベーションのアップに繋がっています。
また、個別の習熟度状況を教師がリアルタイムで把握できるため、個々の生徒のつまずきを的確に把握し、個々の実態に応じた指導ができる点がメリットです。
Q6. エンサップを導入してから、生徒たちの成長や変化はありましたか?
A6 著作権や肖像権に対する意識が大きく向上しました。
例えば、著作権を有するイラストなどをSNSにアップロードしてはいけないことや、友達と一緒に写った写真を無断でSNSにアップロードしてはいけないことなどを、エンサップの動画を通じて、理解するようになりました。
全校集会時、教師から夏休み中のSNSトラブルについて注意を促す場面で、突然、ある生徒が「写真をアップするときは、プライバシーを気を付けなければならないと思います。」と発言しました。この発言を聞いた瞬間、エンサップの教材で学んだことが生かされていると感じました。
Q7. エンサップへの今後の期待、ご感想をお聞かせください。
A7. 障害の特性上、文章問題を読み解く力が弱い生徒も、多数、在籍しています。現在、設定されているSE検定の問題文の一例として「正しいものを選びなさい」や「間違っているものを選びなさい」などがあります。生徒は問題を解いているとき、このような別表記の問題文が混在した状況に対し、問題を読み解く段階で混乱してしまう生徒がいました。
今後、改善できるようであれば、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた問題の文章表記をお願いしたいです。
これまで、SE検定を中心に繰り返し学習に取り組んできましたが、今後は、プログラミングコンテンツも活用する予定です。このコンテンツの活用により、生徒たちは、身近な問題の解決やより良い社会を築こうとする態度を育むことができると期待しています。
今回は養護学校様に導入いただき、ご活用いただいている事例をご紹介いたしました。
今後も生徒の皆さんが楽しくICTや情報モラルについて学べるように、エンサップのサービス改善を図ってまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました。
※掲載内容は、2024年11月時点のものです。